小さな星がほらひとつ

三鷹の森美術館の話

ジブリ展にゆく。

感動した。

ふつうに泣いた。

以下、三鷹の森美術館の

初期構想。

 

 

 

 

◆こんな美術館にしたい

 

おもしろくて、

心がやわらかくなる美術館。

いろんなものを発見できる美術館。

キチンとした考えが

つらぬかれている美術館。

楽しみたい人は楽しめ、

考えたい人は考えられ、

感じたい人は感じられる美術館。
そして、入った時より、出る時

ちょっぴり心がゆたかに

なってしまう美術館!

 

そのために、建物は・・・
それ自体が一本の映画としてつくりたい。
威張った建物、立派そうな建物、

豪華そうな建物、密封された建物

にしたくない。
すいている時こそ、

ホッとできるいい空間にしたい。
肌ざわり、さわった時の感じが

あたたかい建物にしたい。
外の風や光が

自由に出入りする建物にしたい。

 

運営は・・・
小さな子ども達も一人前にあつかいたい。
ハンデをもっている人に

できるかぎり配慮したい。
働く人が自信と誇りを持てる職場にしたい。
道順だの、順路だのと、

あまりお客さんを管理したくない。
展示物に埃がかぶったり、

古びたりしないよう

いつもアイデア豊かに、

新しい挑戦を続けたい。
そのために投資を続けるようにしたい。

 

展示物は・・・
ジブリファンだけが

よろこぶ場所にしたくない。
ジブリのいままでの作品の絵が並んでいる

「おもいで美術館」にはしたくない。
みるだけでも楽しく、

つくる人間の心がつたわり、
アニメーションへの新しい見方が

生まれてくる場所をつくりたい。
美術館独自の作品や絵を描き、発表する。
映画展示室や展示室をつくり、

活き活きと動かしたい。
(独自の短編作品をつくって公開したい!)
今までの作品については、

より掘り下げた形で位置付けて展示したい。

 

カフェは・・・
楽しみ、くつろぐための

大事な所として位置付けたい。
ただし、多くの美術館のカフェが

運営困難になっている現状からも

安直にはつくりたくない。
個性あふれたよい店を、

まじめにつくりあげたい。

 

ショップは・・・
お客さんのためにも、

運営のためにも充実させたいり
ただし、売れればよい式の

バーゲン風安売り店にしたくない。
よい店のあり方を模索しつづけたい。
美術館にしかない

オリジナルグッズをつくりたい!

 

公園との関係は・・・
緑を大切にするだけでなく、

10年後さらによくなるプランをつくりたい。
美術館ができて、

まわりの公園もゆたかになり、

公園がよくなって
美術館もよくなったといえるような

形と運営を探し見つけたい!

 

◆こういう美術館にはしたくない!
すましている美術館。
えらそうな美術館。
人間より作品を大切にしている美術館。
おもしろくないものを

意味ありげに並べている美術館。

 

三鷹の森ジブリ美術館
館主 宮崎駿